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Image by Dong Cheng

千と希の設計図 web版 2024年12月号




寒くなってきました


 ちょっとずつ寒くなり、いきなり寒い日がきて、また暖かい日が来て…という繰り返しの後、うやむやにされるがごとく冬になっています。そして今年の夏がどれくらい暑かったかを思い出せなくなるという、毎年不思議な現象に見舞われますよね。。ちなみにがっきー社長は週末に福島に行ってきまして、紅葉を堪能すると共に、関東にはない寒さを体験してきました笑


「外見重視(ウーバーイーツ)でいいんじゃな〜い?


 前回、「デザイン会社の、デザイン以外の価値」を模索するようなことを書いてみましたが、あの後もう一度考えてみて、「とはいえ、デザインが良くないとお話にならんよな」と思いなおし、少しこの方面での考察を深めてみようと思いました。


 「人は中身が大事」という道徳的観念から、私たちは人を評価する際に外見は外して考える癖がついてきました。それどころか、世の中は映画やアニメの主人公のキャラクター変更、ミスコンの廃止などに表れるように「外見至上主義(lookism)は良くない」という方向にあります。


イケメンは仕事ができる…はず


 外見至上主義がよくないとされるのは、外見で人格を判断してしまうことを避けたいからですね。実際「イケメンは清潔で仕事ができる」「ブサイクは不潔で貧乏だ」といったレッテルを貼りがちなのは実感としてあるでしょう。

 これはとりもなおさず、私たちが自然と「美しいものに魅力を感じてしまう」性質をもっているからに他なりません。美しいものを見ると気持ちよくなる、醜いものを見ると不快になる、というのは確かに実感としてありますよね。良いか悪いかは別の判断だったとしても、私たちの性質としては認めるべ

きでしょう。


自分、外見で人を判断してないっすよ!


 さらにはそれは外見から来る自分の判断に理由をつけているためにも使われます。これはあるYoutuberが言っていた話ですが、推しのアイドルの子を応援している理由に「顔が可愛いからじゃない、とても努力家で周りのことを優先して考えられる優しい心の持ち主だからなんだ」といったすり替えを行う、というのです。外見を重視している人だと思われたくないので、その中身に注目していることを外にアピールするわけです。

 本来とちょっとずらした理由付けを考えるあたり、クルマを買う時にちょっと似てるな、と思いました。本当はそのボディのカッコよさに一目惚れしたのに、「かなり燃費がいい」「加速がすばらしい」「内装は値段以上の作りだ」などといった外見以外の理由を考えては披露する人はよく見かけます。


大人の世界では言葉にできる理由が必要


 デザイン会社を選ぶ際、決まるまではいろいろ理由が必要になるでしょう。「見積りが安かった」「やりとりで信頼できそうだった」「実績がたくさんあった」「帝国データバンクの評価が良かった」などなど…ただ、最終的にクライアントのお役に立てるコアの部分は「デザインが良かったか」というところに他なりません。ただ、それは受注しないと発揮できない部分なので、ここが難しいところですね…


デザインとは外見至上主義なのか?


 商用グラフィックデザインは、文字や写真、イラストを組み合わせ、その商品やサービスの最も美しい面を見せるのが役割です。この場合の「美しさ」とは、機能や価格、使いやすさに加え、なにより見栄えが大事なのはいうまでもありません。紹介する商品自体のパッケージがそれほど映えないものでも、チラシ全体を美しく仕上げることで、手に取る人の印象を大きく変えることができます。美しく文字を並べることで、その文章をワンランク上の説得力を持って伝えることができます。人が直感で美しいものを求めるという性質に応える形で出来上がったのが我々の仕事と言えるでしょう。



 

作られた季節

春はあけぼの。秋は紅葉だよ。


私たちは「我が国には四季があり、それぞれに美しい彩を見せる」といった話を聞かされて大人になるわけですが、実際のところ、そのイメージというのは我々デザイナーが作っています(笑)。例えば秋ですと、葉っぱが黄色からオレンジ、赤になり、美しく見える…のですが、実際はそういう場所「も」ある、というのが正確で、周りを見ると、だいたいこんな感じでしょう↓


11月中旬の杉並区の家並み

一般的な広告で使用するのはこんな写真ですよね↓



何が言いたいのかというと、この実際に即していない「季節感」を表現することに意味があるのだろうか? という疑問の提示です。作り手としてはこういった紋切り型の季節感の表現に若干うんざりした感がありまして、かといってクライアントさまの期待を裏切って、「秋を嗜む」のタイトル周りに杉並区の家並みを使用するわけにもいきません(笑)。デザイン云々はさておいたとしても、現代を生きる私たちは季節のイメージを画一化するのではなく、感じ方や表現のバリエーションが刷新されていってもいいのにな、とも思います。ちなみに枕草子の「春はあけぼの」を読み返すと、今の我々とは違った四季の表現ですので興味深いです。


 

春は、あけぼの(枕草子)


春は、あけぼの。→桜じゃないのかよ!

やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。


夏は、夜。青空に雲っしょ?

月のころは、さらなり。闇(やみ)もなほ。螢(ほたる)のおほく飛びちがひたる、

また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行(ゆ)くも、をかし。

雨など降るも、をかし。


秋は、夕ぐれ。そこは紅葉でしょ!

夕日のさして、山のはいと近うなりたるに、烏(からす)の、寝どころへ行くとて、

三つ四つ、二つ、三つなど、飛びいそぐさへ、あはれなり。

まいて、雁(かり)などの列(つら)ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。

日入りはてて、風の音(おと)、虫の音(ね)など、はたいふべきにあらず。


冬は、つとめて。雪が積もる感じは…

雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜のいと白きも。

また、さらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。

昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりて、わろし。

 



デザイン絵画教室がひらくだより


11月の課題

「雨の風景


雨の降る落ち着いた風景を描きました。配色や水に映る景色の描き方で雨らしくなります。にじみや水加減を学んで、水彩絵の具表現の幅が広がりました。なかなか描いたことのない風景だったと思いますが、みんな素敵な雨の雰囲気が出せました!



急に雨が降り出してあわてている感じがしっかり伝わります !



色合いが素敵 !濡れた地面にゆらゆら映る様子 も上手です



ちょこんと傘をさす小さな猫がかわいい !雨 もバランスよく描けました



家族みんなで雨の中も楽しそう♪色もカラフルで明るい印象です



まさかの雨の中怪獣が登場 ! 迫力があり、色もかっこいいです !



黄色いかっぱの子が絵本のようでかわいい !空 の色も一味違います





●作品いろいろ!


今月の課題以外にもみんないろいろな作品を作っています!

やりたいことが見つかったらぜひリクエストしてくださいね!




●最近のできごとぽろぽろ


出張絵画教室その2


来年6月、江東区こどもプラザで講座を開くことになりました。お題はピクトグラム作り。小学生のみんなにも楽しく作ってもらえるように内容を考えます !




生徒総数1000人突破!


絵画教室の生徒総数がついに1000人を突破しました !みなさんにもっと楽しんでもらうために、今日も先生たちは課題の研究中です。





発送伝票の豆知識


運送会社へ依頼する際に使う「発送伝票」。この寸法は全てインチ刻みだと知っていましたか? これに対応するプリンターのメーカーは今日本では1社しかないそうです。





●杉並みんなの食堂レポート


11月12日第20回

「とんかつ」


今回はたくさんのボランティアスタッフが来てくださりました。子どもたちも大活躍 ! 途中のハプニングも、心強いスタッフのみんなのおかげで乗り切れました ! イートイン

コーナーも満席。とんかつも美味しく、大盛況でした。




 

■スタッフの声■

急に寒くなってびっくりです。もこもこのスリッパが欲しいです。( 中村)

 

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