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Image by Dong Cheng

千と希の設計図 web版 2023年3月号




「絵が描けるようになりたいです」


 みなさんが思い描く「絵が描けるようになる」とはどういう状態のことを言うでしょう。 ①目の前のモチーフ(例えばリンゴやモデルなど)を再現する能力でしょうか? ②あるいは想像した色合いを調合する能力? ③または何も見ずとも動物のイラストをささっと描ける能力でしょうか。実は「どういうことができるようになりたいですか?」と聞くと、3番めを希望する方が多いのです。つまり「何も見ずとも動物(か別の何か)のイラストをささっと描ける能力」です。


見なくてもささっと描ける


 最初に申し上げますが、「ささっと描ける」というのは側で見ている人の感想で、描いている側はパワー全開です。どんなに涼しげな顔でスピーディーに描いているように見えたとしても、次に描き出す線をその経験と想像力で生み出す作業をしているため、「ささっと」描くというのはムリなのです。ただ、見ていないものを想像で描くことはできますので、少し考えていきましょう。


デッサンからスタート?


 デッサン力は観察力だ、と言われます。目の前のモチーフをじっくり観察し、形の捉え方や光と影の具合を学びます。しかし、これを続けて目標に達するには膨大な練習量と時間が必要になります。目で見ているもののトレースなので、別の角度になった時にどうなのか、という想像力を養う練習とは違います。この方法でするならば、違ったモチーフをさまざまな角度で描き、一つずつ記憶にストックしていかなくてはいけません(極めれば最強ですが)。


遠近法(透視図法)は必須


 私がお勧めするのは、透視図法の基本をおさえ、あらゆる直方体をさまざまな向きで描くことです。工業製品のような無機物に特に有効ですが、人や動物を描く際にも役に立ちます。ここで狂いの少ないラインを描くことができれば、破綻しない絵を描くことができます。これには絵心は必要ありません(ただ、3次元空間をイメージする能力は必要です)。直方体が描けたら、描きたいものを、どう直方体に入れ込むかを考えます。これができると、おおよそ目にしたことのあるものはおかしな形にならないはずです。


 絵は、目で見た3D空間を二次元に落とし込む作業、とも言えます。写真と違い、実際にレンズで捉えたものをそのまま再現するわけではないので、そこにそれぞれの人独自の見え方や心情などが表現されるため、正解はありません。しかし、人に伝えるための絵であれば、基本を抑えて練習すれば、きっと描けるようになります。「絵心がなければ描けない」といった特殊技術ではありません。ぜひトライしてみてください。マンツーマンで手ほどきが欲しい、と思った時には、ぜひサウザンドデザインにお問合せください(笑)。


①位置関係や縦横比を意識しながら、いろいろな直方体を描けるようにする


②それぞれの構造を理解しつつ、直方体をガイドにして描いていく。

必要なら補助線を足しても良い。


③大きく破綻しないイラスト完成


 

コラム

動物の描き方


これに関しては骨格をイメージするのが一番良いと思います。実際、骨格から導き出す指南書は多いのですが、あまり細かい部分はこだわらず、ざっくり捉えるレベルでよいと思います。細かい部分をこだわり過ぎて続かなくなるようでしたら、ざっくりでも続けたほうが良い、というのが個人的なスタンスです。