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Image by Dong Cheng

千と希の設計図 web版 2022年7月号





絵画教室でアニメやマンガのキャラクターを描くことについて



 私はデザイン会社の代表および絵画教室の塾長を務めさせていただいておりますが、小学生の時はマンガが大好きで、その絵を真似して絵を描き始めたのが、今の人生のスタートでした。私の時代では、ドラえもんやDr.スランプ、ガンダムなどが流行っていたので、最初は真似をして描き、次に何も見ないで描く、という練習をしていました。当然学校では教えてくれませんから(当時はマンガそのものが教育に良くないと思われていた感もありました)、完全に自分の趣味です。今はアニメやゲーム、マンガの世界も絵的なクオリティが上がり、魅力的なキャラクターもたくさん存在しています。それを真似して描きたいと思うのは自然なことだと思います。

 そんな少年が大人になり、絵画教室を開いてみましたが、なんとそこではアニメやマンガのキャラクターを描くことができません。なぜなら、そのお手本は私共が作ったものではないからです。他の作家さんが作ったキャラクター(絵)を、私共が勝手に教材やお手本にして指導するわけにはいきません。描いた絵がどのように使われるかは、作った人だけが決めることができます。この権利を著作権と呼びます。この権利は作家さんのもので、営利、非営利を問わず、それを無断で利用するのは作家さんの権利を奪うことになります。





 その代わり、イラストタッチの人物の描き方や、人体のバランス、服のシワの描き方、手足のディテールなどの描き方をお伝えすることは可能です。クラスでは特定のキャラクターは描けませんが、ご自身でイラストを描く際に役に立つ技術のアップにつながるでしょう(難易度に応じて大人クラスをお勧めしています)。ここで感覚を掴めば、この先どんなキャラクターを描きたい時でも、応用がきくはずです。

 好きなキャラクターを描けないのは私も残念ですが、キャラクターの作家さんへの憧憬を持ちつつ、絵を楽しんでいきたいですね。





著作権について素朴な疑問


Q トレース(写し描き)でなく、模写なら良いのでは?


A 見て描く行為も複写と見なされるため、著作権(複製権)の侵害となります。




Q 以前絵画教室で行った名画模写はオーケー…?


A 著作権は作家の死後70年で消滅します。作品の価値は変わりませんが、自由に模写ができるようになるので、過去の先達から学んでまいりましょう。




Q 誰にも見せないからいいのでは?